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自然素材へのこだわり その2

07 15, 2010
私の両親は、土壁と無垢材の家に大反対であった。
完成見学会に一緒に行ったとき、猛烈な批判を喰らってしまった。

「この質素な家にこんな値段を出すなら、
 一流メーカーでもっと豪華な家が建つ。」

確かに、その家は、ハウスメーカーの家のようなゴージャス感はなかったが、
国産無垢材と手間のかかる竹小舞塗り壁を使用している為、坪単価は高めだった。

さらに、無垢材は、集成材と違って生きているから、
湿度によって伸びたり縮んだり、反ったり曲がったり、
建具が閉まらなくなったり等、不都合が生じてくるという。
そのような不都合は、暮らしていくうちにちょっとずつ時間をかけて修正したり、
数年で慣らして、落ち着いていくそうそうなのだが、
両親は、「時代遅れだ。大昔の過ごしにくい家を思い出す。」 と言っていた。
反論するも、さらに猛反撃してくるので、自信を失くしてしまいそうだった。

本当に木の家に惚れこんでいる人は、
こういうメンテナンスに煩わしさは感じないだろうし、
それも含めて「愛しい」と思いながら暮らしていくのだろう。
しかし、ずぼらな私たちにそんな面倒なことができるだろうか?

ふと大手某ハウスメーカーのホームページを見ると、
私の理想に近いデザインの住まいが載っていた。
ここならメンテナンス不要で、見た目も高級である。
「無理して木の家にこだわるより、
世間一般に広く支持されている無難な家を選ぶべきなのか?」

大半の人は、見えない部分『構造材の質』よりも、
設備や見た目の豪華さで判断する。
私たちが建てようとしている家の良さを解ってくれる人は少ないだろう。
「周りの評価なんて関係ない。自分らが満足していればそれでいい。」
と、言いたいところだが、気にしてしまうのも正直なところ…

私のこだわりは、一体何だったんだろう?
本物の木の家に住みたいと思ってきたはずなのに、
ただのミーハーじゃないか…
家について、少しは詳しくなったような気分でいた自分が、
実は無知で、浅はかであったということを思い知った。



凹んでいても仕方ないので、まずは知識を得ようと、
図書館で木造建築や住宅関係の本を読みあさり、自分なりに勉強してみた。
どの本にも、書かれていることはだいたい同じだった。

戦後、高度経済成長期の日本に住宅産業革命が起こった。
日本の家は元来、材木屋・大工・左官等の職人集団によって建てられていたが、
経済の発展に伴って、大規模な住宅産業によって建てられるようになっていった。
同時に、建築資材や工法も大きく変化した。

扱いにくい無垢材に代わって、安価で扱いやすい集成材。
施工が簡単で、左官の要らないビニルクロスや化粧合板。
さらには、工期も短縮できる工法で、次々家が建てられた。
部材があらかじめ工場で造られ、現場では組み立てるだけなので、
大工の腕(職人仕事)はさほど必要とされず、あっという間に家が完成する。
新しい建材や工法は『在来木造より強い!しかも早くて安い!』と絶賛され、
一気に広まり、現代の日本住宅の主流となっていった。

ところが、化学物質まみれの新建材と、
高断熱・高気密化によるカビ・ダニの発生によって、
住宅による健康被害(シックハウス症候群)を生み出し、
日本の住宅は、平均寿命わずか30年という事態も招いてしまった。

最近では、建材の見直しが厳しくされているらしいが、
そうでない施工業者も多く存在するそうだ。
少し脅しのような内容ではあったが、
知れば知るほど、ますます『木と土の家』への思いが募っていった。




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パートナー決定

07 17, 2010
木と土の家の良さを知れば知るほど、
K建築の姿勢にますます惚れ込んでしまった。
ところでこの会社、他社とは全く違うことが多くて驚いた。

まず、営業マンがいない。
接客は丁寧だが、基本は受け身姿勢で、セールストークが全く無い。
「ぜひ、うちで(お願いします)。」等のセリフは一切言わない。
しかし、構造や材料等の質問をすると、とても丁寧に教えてくれる。

他の工務店の人々が「家を売っている人」という印象なのに対して、
K建築の人たちは、「家を造っている人」という印象だった。

大手企業は家を売るために、営業マンを何人も雇い、
CMやカタログ、モデルハウス等、『宣伝』に莫大な費用を注ぎ込んでいる。
K建築は、家づくり以外にかかる人件費や広告費等の無駄を省き、
そのぶん質の良い材料で家を造る。
(実際、他の工務店に同じ仕様で要望を出したら、材料費と手間賃に
 莫大な費用がかかるうえに、土壁の技術が無いので不可能とのことだった。)
K建築の坪単価は、材料と手間を考えたら、決して高くはないのである。
同じく土壁の技術を持つC工務店にもプランを依頼しようか迷ったが、
夫に「本命がいるのに、二股かける気か?」と言われ、
「それもそうだな。」とやめておいた。

もう、K建築以外は考えられないと思った。
私が正直に「両親に反対されている」と告げると、
棟梁と設計士は、建設中の工事現場に両親を案内してくれた。

太くてしっかりした骨組みと、土壁を見た両親は、
「インチキをしている会社ではないことはわかったし、坪単価が高い理由もわかる。
 しかし、自然素材や無垢材の長所を生かした家を造るなら、全部ではなく
 C工務店のように適度に取り入れるのがちょうど良い。
 自然素材100%だと、どうしても短所も出てしまう。」
と言っていた。

親の意見も十分理解できるのだが、
以前より知識と自信を得た私は、もう揺らぐことはなかった。
「一緒に住むわけではないから、好きにすればいい。
 そのかわり一切援助はしないし、もう口出ししない。」
と言ってくれた。
やれやれ、ホッとした。

夫は、「まじで?!ビッグサポーターになってくれると思ったのに…」
と言っていた。やれやれ…
彼は、家づくりに関しては私に主導権を握らせてくれている。
気持ちの良い風呂と、車庫と書斎さえあれば何でも良いそうな。



ところで、私は器を集めるのが好きだ。
家を器に例えてみる。
メーカーの家が、工場で量産される食器だとしたら、
私の住みたい家は、手づくりの焼き物だ。

それは工業製品の均一な食器とは違って、扱いが面倒である。

よく見るといびつだし、割れやすくて食洗機は使えない。
最初に米のとぎ汁で煮て締めなければいけないし、
よく乾かしてからしまわないとカビが生える。
磁器ならそんな煩わしいことはなく、圧倒的に使いやすい。
デザインも実用性も兼ねた素敵な食器はたくさんあるが、
私の心にグッとくるのは、作った人のぬくもりを感じる器。

それは『製品』と、『作品』の違いである。

どちらかと言うと、格調高い有名陶芸家の作品より、
親しみやすい若手作家ものに惹かれる。
伝統的手法で作られるが、発想やデザインは新しい。
豪華な装飾や模様が施されているものより、
シンプルで素朴な、使いこむほどに味の出る器たち。

地元で採れた土を、薪窯でじっくり焼いた美濃焼のように、
地域の木材を使って、職人が丁寧に建てる家。

K建築(=亀津建築)でなければならない理由はそこにあるのだ。

こうして私たちは、巣作りのパートナーを決めたのだった。


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巣づくり構想

07 21, 2010
2010年5月末、K建築にて初の打ち合わせ。

想いが伝わるように、私たちの願望を詰め込んだノート(スケッチブック)を持っていった。

第1希望=大屋根計画
キッチンからダイニングとリビングが広く見渡せる。
北側に和室。南に面したリビングとダイニングには大きな窓。
勾配天井の吹き抜けで高窓は無い(掃除が行き届きやすい)。
外観は、南に大きく垂れた片流れの大屋根。
2階の南側にベランダを設けようとすると、形がごちゃごちゃしてしまうのが難点…
IMG_2466 (2) IMG_2466u.jpg


第2希望=総2階計画
坪数が節約できる間取り。和室を南に設け、畳をリビングとして使う。
吹き抜けはダイニングのみで、天井が高くなる為高窓が付く。
外観は総2階で、2階の南側にベランダを広くとることができる。
IMG_2467.jpg

共通の希望
玄関は、靴が散らからないように、来客用、家族用に分ける。
(家族は車庫から直接入れるように勝手口にもシューズクロークを設置。)
寝室書斎を襖で分ける。
 *寝室のエアコンが書斎に行き届く為。
 *書斎の棚に設置したTVを寝室から見られるように。
 (夫婦どちらかが就寝の場合は、襖を閉めて遮断できるような工夫。)
IMG_2468.jpg
風呂はハーフユニットバス。
(床と浴槽は使いやすいユニットで、壁と天井はヒノキを使用。)
台所は無垢のオーダーキッチン。食器棚も造作。
洗面脱衣所
 *洗面カウンターにモザイクタイルを張る。
 *鏡の上に高窓を設置する。(自然光で化粧がしやすいように)
 *脱衣所にも収納を設置。
床暖房
 寒がりな私は、本当は薪ストーブを入れたかった。
 K建築 の建てるほとんどの家に設置されていた。
 見た目もかっこいいし、土壁の家には薪ストーブが適しているそうだ。
 が、、夫に「いらん。」と断固反対され断念。。。
 それなら床暖房しかないと思った。

スケッチブック10ページ程に、これらをまとめて説明すると、
社長と設計士は、「すごい!もう出来上がってるじゃないですか!!」と褒めてくれた。
そして嬉しそうに、「ぜひ叶えましょう!」 と、言ってくれた。


さて、この構想がプロの手によってどのように形になっていくか楽しみである。


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ファーストプラン

07 24, 2010
6月中旬、最初のプランが上がってきた。

いぶし瓦葺きの大きな屋根と、杉板貼りの外壁+白いそとん壁
延床面積31坪という小さな家+14.5坪の広いガレージが特徴的。


玄関(北)側
IMG_2506.jpg

西側
IMG_2504.jpg

南 (最も日が当たる)側
IMG_2503.jpg

設計士さん曰く、
「スプースさんの2つのプランのそれぞれを混ぜ込みました。」

なるほど。無駄な部分が一切排除されている。
私の描いたゴテゴテに重なった屋根は、スマートになっているし、
構想スケッチよりもずっとカッコイイ外観だ。
間取りと坪数も、かなりコンパクトにすっきりまとめられていた。


が、しかし。
正直、最初にこのプランを見たとき、複雑な心境だった。
2つを混ぜるのではなく、のどちらかにしてほしかったのだ。
これでは家が小さすぎる。
私は40坪弱を想定していたのだ。
2階のトイレは?ベランダは??(入っていなかった)
さらに、こんなに小さい家なのに、ガレージが立派過ぎやしないか???

ガレージは、車好きな夫の希望だった。
夫は喜んでいたが、私はこの車庫に納得が出来なかった。
車庫を建物と一体化させると、そのぶん固定資産税がかかってくるし、
敷地の制限にひっかかるために、これ以上家を広くできないのだ。
(この地区の景観の規定で、隣地と建物は最低150cm空けることになっている。)
車庫に面積と費用を取られて、そのぶん家が狭くなってしまうなんて…
夫は「いいんじゃね?」と言ったが
私は「簡単に決めちゃいかん。」と、夫婦会議に持ち込んだ。

ガレージをやめてカーポートにしようか。
カーポートは外構扱いになるので、税金と敷地制限の問題が解決する。
そもそも私たちは、高級車を所持しているわけでもないし、
雨や汚れをしのぐなら、屋根が付いていればいいだけのことだ。
夫は、「カーポートでもいいけど、かっこよさは半減すると思うよ。」
私も、「確かに…。」悩むところだ。。。


K建築は、設計も自社で行っている。
設計士のMさんは、真面目で個性的な青年だ。
この個性の強さは「芸大卒の匂いがする」と思ったら、その通りだった。
彼の設計は、独特なデザインで、
他の地元工務店の「和モダン住宅」とはどこか違う繊細な美しさがある。
そこに私たちは惚れたわけなのだが、
同時に作品への思い入れも強くて、自分の作風を通す芸術家タイプにも見えた。

この車庫と建物のつながりの部分は、彼がとくにこだわって
思考錯誤のうえに自信を持って出してくれたものに違いない。
間取りも、見れば見るほど、よく考えられていることに気が付いた。
他社のプランには、家のどこかに必ず暗くなる場所が発生し、そこを天窓で補ったりしていたが、
Mさんのプラン=K建築のつくる家には、
天窓が無いのに、暗い場所がほとんど無い。
採光面も、無駄の無い間取りも、よく計算されているなと思った。

一応私も制作の仕事をしていた者なので、作り手の苦労がわかるぶん
せっかくの力作をやり直しさせるようで心苦しかったが、
私の描いた構想をなるべく忠実に再現したプランを、もう一案作ってもらうことにした。

一生に一度の高い買い物なので、後悔のないよう慎重に決めて行かねば。。。


つづく。


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第2プラン

07 27, 2010
7月中旬、新しいプランが出来上がった。
この外観を見て、テンションが上がった。
要望はちゃんと叶えられているのに、形はほとんど崩れていない!


まずは玄関正面。(北東側)
IMG_2603.jpg


北側。(2方向の道路から一番目立つところ)
before IMG_2506.jpg
  ↓
 after IMG_2601.jpg


南西(午後から最も日が当たる)側には、布団干し用のベランダを設置。
before IMG_2504.jpg
  ↓
 after IMG_2600.jpg


南側
before IMG_2503.jpg
  ↓
 after IMG_2598.jpg

車庫(屋根)は横2台分から、縦1.5台分のみに縮小。(敷地内には4台駐車可能。)
ちなみに前回は、軽自動車なら4台すっぽり屋根の中に入ってしまいそうな広さだった。
この車庫の前に洗濯物を干す予定である。


1階 間取り
before 前1
  ↓
 after 今1

改良プランでは、構想Aを再現してもらった。理想に近づいてきたぞ。
北に和室を持っていくことで、広くて明るいLDKになった。
家事動線は前回のほうがスマートだったかもしれない。

↓キッチンから見渡せる勾配天井のリビングはこんなイメージ。
IMG_2466.jpg


2階 間取り
before 前2
  ↓
 after 今2

切望していたトイレとベランダが付いた。
一つ気になるのは、子供部屋が狭くなったこと。
今のところまだ子供は1人だが、いずれ兄弟を…と思っている。
子供2人を想定すると、この収納量では将来、物が溢れてしまいそうな気がした。

延床面積は、全体で約3坪弱大きくなった。それでもまだ35坪にも満たない。
あと、ほんの少し。子供部屋だけでもゆとりが欲しい。
設計士さん曰く、
「このぐらいの広さで十分だと思いますよ。ちょうど暮らしやすい大きさだと思います。」
ここまでは予算内で可能だが、これ以上坪数を上げようとすると、予算オーバーになるそうだ。

とりあえず、予算はあとで調整するとして、もう少し広くしてもらうことにした。
理想の巣まで、あともうひといきだ。

プランが決定したら、欲望と予算(妥協)との戦いが始まるであろう。



これでようやく、日記の内容が現在に追い付いた。
我が家の着工は、今年2010年の9~10月予定。
ここからしばらくは更新が緩やかになりそうだ。。。



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オール国産無垢材と土壁による
巣づくり日記。

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